調庸物

越後国の鮭は毎年、東大寺にも大量に納入されていた。東大寺は、八世紀の中ころ、全国各地に合計5000戸の封戸を与えられ、それらの戸が納める祖や調庸物や中男作物などを封物として取得することが許されていた。その5000戸のなかに越後国の200戸があった。その200戸は、当初、頸城郡、磐船郡、加茂郡、雑太郡の各50戸であったが、越後国に併合されていた佐渡国が復置されると、やがて、頸城郡、三嶋郡、沼垂郡、磐船郡の各50戸になった。東大寺に伝えられている史料によると、11世紀の中ころ、越後国は年間300隻をこえる鮭を封物代として東大寺に送っている。おそらく、東大寺は八世紀のころから、調や庸の分として越後国の鮭を取得していたとみてよいであろう。調庸物などの各種の貢納物は、納入者が個別に生産するだけでなく、国衛や郡衛が人々を指揮して集団的に生産し、集荷や納入にあたっていた。したがって、越後国から、毎年、政府や東大寺に送られる鮭も国衛や郡衛が納入に深くかかわっていたと思われる。

貴腐ワイン

貴腐ワインは、白ワイン用のブドウに菌が果皮に感染することによって非常に糖度が高まり、芳香を持つようになった最高級甘口ワインです。貴腐とは、腐敗したように見える干しブドウのようになった外見からは想像できないような芳香と風味を持ったワインが醸造されることからつけられた名前で、貴腐化したブドウを使って造られた甘口の最高級ワインを貴腐ワインと言います。